研究会発足の主旨
最近の技術革新は、目紛しい程のスピードで進化している。
例えば、自動車における完全自動運転は目前に、また医療、物づくりに対応する各種知能
ロボット等、 そこには最高級のIT技術を駆使した“いつしか見た夢”の実現がある。
しかるに、世界で冠たる日本の金型づくりでは、その最大テーマは旧態依然として、
「低価格、短納期、高品質」という金型を作り上げる迄のものでしかない。
従って、完成した金型は単なる鉄の物体であり、プレス機等の操作指令や、周辺の自動化
設備の検出機能の助力を得て、かろうじて作動し、成形品を排出するにすぎない。
因みに、プレス金型を考察すると、
・絞り型では、材料の2枚打ちを検知出来ず型破損させる金型。
・抜き型では、スクラップ流れ不良によるプレス生産チョコ停をさせる金型。
・穴抜き型では、ピアスポンチ欠落を無視し、生産続行する金型。
・己の出自から、現在に至る各種履歴を記憶出来ぬ金型。等々
もし今この金型に、これらに対応する“賢さ”があれば、そこに時代を越えた技術の
一段の進歩がある。
尚この様な事象は、プレス金型以外の金型にも多々存在すると思われる。
現在、日本の金型業界は、新興国の技術進歩もあって、コスト面で非常に厳しい局面にある。
そのために、金型づくりの品質(精度)と経験値の歴史のみを糧にした闘いを強いられる
姿も見られる。
こうした背景から、将来の日本の金型づくりでは、新たな付加価値を開発し、再度高度な
闘いを展開する必要がある。
その新しい付加価値を求めて、ここに「物言わぬ金型」から「かしこい金型」を目指す
所以がある。
かしこい金型の定義
A. |
危険状況や生産品の不具合等を検知し、 自らで即応処置出来る金型。 |
B. |
危険状況や生産品の不具合等を検知し、 緊急警告を発することの出来る金型。 |
C. |
自らの出生や過去の不具合、生産動向及び
メンテ情報の履歴を蓄積し、そのデータを告知出来る金型。 |
開発事例
・金型の圧力検出プレート(ボルトセンサーによる圧力分布と挙動を検出)
株式会社アデックのYouTube動画
・金型IoT見える化(金型の圧力挙動の可視化ソフト)
日本ユニシス・エクセリューションズ株式会社の製品紹介の動画ページ
・カス上がり対策ボタンダイ
・ウルトラジェックピン(2段スプリング)
・AIによるプレス成形状態の認識
・荷重センサー付きピアスパンチユニット
・位置センサー付きセンタリングブロック
・金型内発電ユニット 他
研究会員構成
役職名 | 所属・役職 | 氏 名 |
会 長 | 慶應義塾大学 名誉教授 | 青山 英樹 |
会 員 | BIPROGY株式会社 中部支社長 | 宮本 素立 |
会 員 | UEL株式会社 代表取締役社長 | 長廣 勲 |
会 員 | UEL株式会社 上席スペシャリスト | 松林 毅 |
会 員 | UEL株式会社 企画統括本部 商品企画部 | 住吉 亜紗子 |
会 員 | 三協オイルレス工業株式会社 代表取締役社長 | 中村 智 |
会 員 | 三協オイルレス工業株式会社 技術部 部長 | 小林 伸之 |
会 員 | 株式会社ハルツ 代表取締役社長 | 近藤 大輔 |
会 員 | 株式会社アデック 代表取締役社長 | 久野 拓律 |
事務局 | 株式会社クライムエヌシーデー 代表取締役社長 | 高橋 啓太 |